前回に引き続き,自動のりかえ駅と自動ターンアウトレールを使った周回路について,もう少し検討を進めてみます.
まず・・・単純な周回路の場合,同時運行可能な列車数は基本的に1です.
列車間の速度差がゼロであれば物理的に配置可能な限り同時運行できますが,現実的にはありえません.
自動のりかえ駅を使った場合,基本的には常に1列車をホームに停車させておくことで,2列車を運行可能としています.ただし,周回路上を走行している列車数が常に1であることに変わりありません.
クリスマス用レイアウトに使った上図の方法の場合,2列車が同時に動いている状態を作り出すことができる点で優れていますが,本質的には単純なレイアウトと同様です.
長い方の路線が本来の周回路で,この本線上で動いている列車数は常に1です.短い方の路線は自動のりかえ駅の構成上,ホームを入れ換える必要があるための反転路であり,「本線(長い方)の列車が戻ってくるまでの間,ずっと停車してるのも暇なので・・・ちょっと動いて反転してきた」ってな扱いです.
ですので,本線の列車が戻ってくるまでに,必ず反転を終わらせて駅に停車していなければなりません.本線上を動いている列車の数を増やすことは,残念ながらこのレイアウトでは難しそうです.
自動のりかえ駅を複数個使えば,周回路を幾つかの「本線」に分割できることになるため同時運行可能数は増えていくのですが・・・さすがに同じセットを複数個買うといった暴挙は,嫁に「アホの極みやね.子供の教育上よろしくないのでさっさと捨てて来い」と言われること確実ですので・・・実現不可能です(^^;
前振りが長くなってますが,何とか現有レールで複数同時運行の実現を目指した苦肉の策が,今回検討中のレイアウトです.
前回同様,
・右側のY字ポイントレールは「自動切換機能を持っている」.
・自動のりかえ駅は「1番線(上),2番線(下)とも右側から列車が進入した際に自動のりかえ機能が働く」スペシャル品である.
と考えて下さい.
このレイアウトの場合,先行する列車との間隔は,後続の列車によって作られる点がポイントです.
先行する遅い列車と後続の速い列車を考えた場合,走行することによって両列車の間隔は縮まりますが,自動のりかえ駅で停車することにより,両列車の間隔は,速い列車とさらに後続の列車との間隔に等しくなります(リセット).
別の言い方をすると,ある列車と後続列車との間隔が,先行列車との間隔に移るという感じです.自動のりかえ駅の直前で,AとBの間隔が9秒,BとCが5秒,CとDが8秒であったとすると,自動のりかえ駅を通ることで,
A 9秒 B 5秒 C 8秒 D ・・・であったものが,
A 5秒 B 8秒 C ・・・ D ・・・となります.
実際は,先行する遅い列車に後続の速い列車が走行中に追突しないように初期間隔を与えます.ただし,遅い列車と後続列車の間にだけ大きな初期間隔を与え,他の速度が同程度の列車間には短い初期間隔しか与えなかった場合,この短い初期間隔がいずれは遅い列車とその後続の列車間に移ってきますので,その周回で追突が発生してしまいます.
また,一番遅い列車の後ろに少し遅い列車,その後ろに速い列車というように配置したとしても,結局のところ,一番遅い列車とその後続の列車間に,一番遅い列車と一番速い列車の速度差に相当する間隔の減少が発生します.つまり,どのように列車を配置したとしても,各列車間に初期間隔として,1周のうちに一番遅い列車に一番速い列車が追突しないだけの間隔(+余裕)を最低与える必要があります.
仮に列車Aから列車Dまでの4列車同時走行とし,一番速い列車Aを基準として見た場合の各列車の遅れが,
A=0秒
B=5秒
C=2秒
D=4秒
であったとすると,一番遅い列車Bに一番速い列車Aが1周のうちに衝突しないだけの初期間隔5秒+余裕5秒=計10秒以上を,他の列車間にも初期間隔として与えれば問題ないということになります.
一番速い列車の速度を基準として全体を見た場合,全体の動きとしては,周回ごとに各列車間の遅れが先行する列車間に伝播し,最終的にはぐるっと一巡して元の列車まで到達して本来の遅れと相殺されて元の間隔に戻る,という動きを繰り返します.
各列車間の遅れは全体の周回速度を遅らせる方向には蓄積されますが,ある列車間に複数の列車間の遅れが蓄積されることはありません.
というわけで・・・試してませんので自信はありませんが,理論的にはたぶん,今回検討したレイアウトで複数編成の同時走行ができるはずです.
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